アマ(亜麻)   池宮 妙子

「彼女は二人を屋上に連れて行き、そこに積んであった亜麻の束の中に隠していたが、・・・」(ヨシュア記2:6)

「亜麻布の衣服を着せ、金の首飾りをヨセフの首にかけた。」(創世記41:42)

「香料を添えて亜麻布で包んだ。」(ヨハネ福音書19:40)

 ヨシュアはエリコの町を偵察させるために二人のスパイを送り込みました。彼等はラハブの屋上に積んだアマの陰に隠れていました。

 5000年前から栽培されていたアマは、収穫後束ね、数週間水に浸し、繊維をふやかし、束をほどき、ふやけた茎を拡げて日に干し、すきわけて繊維を取り出したとエジプトの墓中パピルス紙に記録が残っているそうですから、二人は山の様に積まれた乾燥中の繊維の中にいたわけですネ。

 繊維で紡いだ織物リネンは、長服、かぶり物、ターバン等に使用されていました。

 アマ科の草丈60~100cmの一年草。原産地は中央アジア南部。日本渡来は200年前。北海道が亜麻仁油採種、繊維目的栽培主産地。

(2000年 6月号)