昨年のクリスマスイヴ音楽礼拝では突然の停電というハプニングがあった。「アドヴェントクランツのローソクに点火します」に従って東京バッハアンサンブルの弦楽合奏でヘンデルのメサイアよりパストラーレの演奏が始まって直ぐのことだった。暗闇の礼拝堂では、何事もなかったかのように美しい音楽が奏でられた。そして列席者には静かに次々と蝋燭が手渡されていった。
しばらくの間、蝋燭の光を頼りに聖書が朗読され讃美歌が歌われた。私は涙がこぼれて止まらなかった。3.11で家も店も失った友人が語った「隣人4人で1枚の毛布に包まってひたすら夜明けを待った」という情景が胸に迫ってきたのだ。星が美しかったというあの夜、たくさんの祈りが繰り返されたことだろう。蝋燭の淡い光に包まれて、特別のクリスマスイヴとなった。(ノ)
-むさしの教会だより 2012年3月号-