皆様のお祈りと励ましに支えられまして、牧師として最初の一年の務めを果たすことが出来ましたことを感謝致します。
着任したのが、昨年3月31日のイースター礼拝で、百名を越す方々と一緒に主のご復活を祝うことが出来ましたが、今年も123名の皆さんが集って下さいました。
私が担っている主な働きは、広島教会の二礼拝所(広島、呉)と松山教会。そしてこの他に、三つの諸施設・活動(宣教共同体)の働きがあります。一つは同じビルの下の階(二階)にあるルーテル保育所。広島教会から車で15分ほどの所にある谷の百合幼稚園。そして、ボーイスカウト広島8団です。いずれも子ども達を対象にした活動であると同時に、若い保護者や職員の皆さん方と教会が交わる大切な接点となっています。
広島礼拝所は平均主日礼拝出席が50名強ですが、教会員以外でも平日に祈りにこられる方がいらっしゃり、オフィス街の中の密かなオアシスとなっています。毎週木曜日には聖書研究会が行われ10名前後の参加者がおられ、毎回昼食も準備されています。呉礼拝所は、車で小一時間離れた呉市にあります。牧師は毎週水曜に赴き、5~6名で礼拝を守っています。日曜日には信徒の方だけで集まり礼拝を守っており、小さな群れながら礼拝を大切にするその姿勢は、牧師の私が励まされる思いです。
松山教会には月に一回、第二主日にフェリーで海を渡って参ります(この日は森勉先生が広島教会を守って下さいます)。ですから、牧師として十分な働きが出来ないことをいつも済まなく思っています。この春の大きな喜びは、松山教会から東谷清貴兄ご一家が献身し、神学校へ入学されたということです。奇しくも、私と同じ44歳での神学校入学でした。武蔵野教会の皆様とは、実習を含めこれから様々な交わりの機会があろうかと思います。これまで多くの神学生を支え励まして、伝道の現場へと送り出して下さったように、どうか東谷兄のことも皆様のお祈りにお加え頂ければ幸いです。
続いて宣教共同体の働きについてです。ルーテル保育所では、今春から定員を90名から120名に増やしました。園児達は乳児から幼児に亘りますので、子ども達の日々の成長を感じながら毎週火曜日に子ども礼拝を行っています。素直できらきらした瞳の子ども達は、正に神さまからの贈り物だと思います。私はチャプレンの働きと同時に理事長として園の運営の責任も与えられています。どこの施設も同じ状況だと思いますが、クリスチャンの職員が少なく、昨年までは教会員はお一人だけという状況でした。先ずは職員の皆さんと一緒に聖書を学び、共にキリスト教保育というものを考えていきたいと願っています。
谷の百合幼稚園も100名ほどの園児たちがいます。こちらも地元からの信頼があつく、また地域的にも人工増加傾向のある地域ですので、少子化にもかかわらず、入園希望者をお断りしなければならないほどの状況です。幼稚園礼拝は毎週金曜日に行っており、保育所とはまた一味違う子ども達の豊かさを感じる時となっています。宣教師館から始まった幼稚園ですので、ボーイスカウトの活動も古くからここを拠点に行ってきました。今年は団結成50周年を祝う諸行事も計画されており、宣教の実りの多様性を感じています。
この一年の間に、二人の受洗者(60代と10代)、一人の転入者が与えられました。そして教会員お二人の葬儀と、六件の結婚式が行われました。この他に、礼拝堂で行われたコンサートや講演会が十数件。集会室を利用したピアノ教室や書道教室など、毎日だれかが教会を訪れているといった感じで、オープンな雰囲気を大切にしていきたいと思っています。
この一年の間に与えられた喜びの中で、特に皆様にご紹介したいのは、昨年のクリスマスに受洗されたM姉のことです。M姉は昨年の一月頃から礼拝に出席されるようになり、私が着任したその日のイースター礼拝で洗礼を決意されました。それからゆっくり時間をかけてご一緒に小教理問答を学び、その中でこれまで歩んで来られた人生の多くの出来事を話して下さいました。
「まるで大河ドラマのような人生ですね」と何気なく私が感想を述べましたら、音楽活動をしてこられたM姉はその言葉をきっかけに、なんとご自分の半生をミュージカルにして教会で公演されることになったのです。丁度、今年で音楽活動50年を記念したコンサートが、このような形で祝福されたものとなったことを本当に喜んで下さったのでした。
4/5に行われたミュージカルのオープニングはM姉の洗礼式のシーンから始まり、幼少期へと戻って現在までの歩みを印象的に振り返るという形式でした。人生の全ての出来事が、神さまとの出会い、そして洗礼へと導かれていたのだという感動的な証しと讃美に溢れた素晴らしいものでした。私自身も洗礼式と結婚式のシーンで実際に牧師役として出演しました。当日ご覧になった方々だけでなく、出演されたメンバーからも、初めて洗礼式というものを見ることが出来たといって感動された方が多くいらっしゃいました。
色々な形の伝道集会があると思いますが、ご自分の信仰の証しを、賜物を活かしたミュージカルで表現して下さったのは、大きな祝福であったと思います。大柴先生がよく「牧師には、神さまがなさる御業を、最前列で見ることが出来る幸いが与えられている」という意味のことを仰っていましたが、正にこの一年という短い時間の中でもそのことを経験させて頂いています。
最後に家族のことですが、妻の真理は地元広島に戻ってきてますます元気になり、教会の働きを助けてくれています。娘の亜夢美は中学三年となりましたが、吹奏楽部の練習に明け暮れています。すっかり広島弁にも馴染み、身長も165cmを越えて元気一杯です!
武蔵野教会の皆様に育てて頂いた私たち家族です。どこにいてもキリストにあって心は一つであることを覚え感謝です。どうぞこれからも宜しくお願い致します。
むさしの教会だより 5月号(499号)より