姜 尚中 著『心』  塩澤 一実

初めに「心」の意味を岩波辞典(第六版)で調べた事がらを書き記す。

〈体に対し、しかも体の中に宿るものとしての知識・感情・意志等の精神的な働きのもとになると見られているものまたはその働き〉

物語はある書店で姜先生のサイン会があり、先生の大ファンであるという大学生西山直広がどうしてもお目にかかりたくてと、瞳の奥が思いつめた様子で「これ読んで下さい」と定形型の茶封筒を差し出した。やや突き出すように。「真剣なんです。お願いします」と。

ここから先生と悩みを抱えた西山直広とのメールでの心の交流が始まり延々と続く。

私もこのタイトルに引き込まれ一気に読んだ。そして姜先生の温かい心とその広さに圧倒された。「悩む力」で多くの困難を乗り越えて来られた方であればこその内容に、深く感じ入った。しかしこの感慨をどう要約すればよいか!私は考えた。

要はどなた様もこの「本」を手に取ってお読み頂くのが一番良いと思うに至った。

後世の者たちのためにも“一家に一冊”を本棚に置いて読み継いで行けたらどんなに素晴らしいかと思う。これが私の読書感です。

如何でしょうか!

私達が決して忘れてはならない2011年宮城県下東北沖を震源とし犠牲者を出したあの「東日本大震災」を決して忘れない為にも…。

〜読書会から〜 むさしの教会だより 5月号(499号)より