たより巻頭言「我、ここに立つ!」 大柴 譲治

「わたしは、神からいただいた恵みによって、熟練した建築家のように土台を据えました。」(1コリント3:10)

4月12日に起工式が行われ、16日に着工した牧師館・集会室の建築工事は現在順調に進んでいる。7月2日にはエレベーターのための柱が立てられた。大工さんたちの丁寧な仕事を見ながら、家を建てるということの面白さに感心する。職人芸による総合芸術である。特に、土台や枠組みというものの大切さを教えられる中、人生の土台と枠組みに思いを馳せる。6月13日には上棟式が行われた。据えられた土台の上に、何とたった一日で家の枠組みが組まれた。式中で江戸木遣りの歌声が響く。梁を支える大黒柱も初めて見ることができた。新しい作品を創造することは喜びである。神さまも自らの天地創造においては大きな喜びを感じたに違いない。「よし」とされたところにそれが記されていよう。工事は9月中旬に完成、9月28日(日)には献堂式の予定である。共にその日を喜び迎えたい。

不思議なことが続いた。基礎のコンクリートを打った日は快晴、熱を持つコンクリートを冷やすために水撒きが必要となる翌日からは雨が降った。上棟式の前日は大雨だったが、上棟から屋根を張るところまでの一週間は梅雨の晴れ間が続いた。そして6/21からは再び大雨。天は我に味方せり! である。

もう一つ。5/18、石居基夫先生が説教をしてくださった三位一体主日礼拝には島田療育センターから奥田浩子姉と二川敏之兄、そして特別に木実谷哲史院長が出席された。礼拝後に木実谷先生より故元宮道子姉(ペコちゃん)の遺産の一部として百万円が捧げられる。長年に渡る島田との深い関わりの中で起こった出来事である。2003年6月5日にペコちゃんが天に召されて既に5年。むさしの教会のウェブサイトにある葬儀説教(通常葬儀説教はプライベートなものゆえに掲載しない原則だが、身寄りのなかったペコちゃんの告別説教だけはその生の証しとして特別に掲載させていただいている)が重要な役割を果たしたと伺う。教会の建築工事のためにもぜひ元宮さんの遺産を役立てていただきたいというお話であった。「ペコちゃんの記念としてエレベーター設置のために用いさせていただきます」と感謝して受け取った。天からの不思議な介入を強く感じた出来事でもあった。

すべてがイエス・キリストという土台の上に起こる出来事であると思う。主ご自身も石大工職人で、誰よりも基礎工事の大切さを知っていた。山上の説教の最後には「岩の上に建てた家」の譬えもある。テント職人であったパウロも「神から賜った恵みによって、熟練した建築家のように(教会の)土台を据えた」と語る。私たちも神の生けるみ言、キリストの現臨という土台の上にすべてを築いてゆきたい。「我、ここに立つ!」と告白したルターのように。

(2008年7月号)