2016(平成28)年3月31日をもって、大柴牧師が日本福音ルーテル大阪教会へ転出されることとなりました。惜しみても余りありと申すべきでしょう。思い起こせば、2年に亘る米国留学より帰国、1997(平成9)年9月1日付にて着任以来今日まで、18年半に亘る長期在任でした。石居基夫牧師の次の一年半、専任牧師をいただくことなく、神学校の徳善義和教授にご無理を願い兼任態勢にて過ごしておりましただけに、大柴牧師のご着任を迎えて、教会員の皆が待ち焦がれていた人事が実現したのでありました。
とは言え、国際的なルター学者である徳善先生の説教を毎週拝聴できましたことは、これはこれでまことに贅沢な、且つ稀有な期間を恵まれたことでございました。その後を受け継ぎ、大柴牧師は40歳の若さで着任以来、精力的に活動を開始されましたが、基本的な姿勢はあくまでも礼拝中心の宣教活動に徹しておられました。ともすれば数的な宣教成果を望みがちな役員・信徒たちに対しても、我々の働きが良しとされれば、数は神様が添えてお与えくださることとして、微動だにしない姿勢を示し続けられました。
「私は宣教において数値目標は申しません。」と宣言されました。教会の働きの成果は、常に礼拝を忠実に守り続ける中においてのみ実現するとの確信に貫かれていました。そして、礼拝中心の宣教に加えて、先生の生涯活動ともいうべきカウンセリングを通しての牧会を通じて、宣教活動を展開されました。その成果は、多くの受洗者のみならず他教会からの転入者たちが与えられ、その新たに加えられた方々が、今やむさしの教会の宣教の一角を担っておられる姿にも明らかになっています。大柴牧師を中心にした“むさしのの輪ツ”が形成されてきたのではないでしょうか。
90年の年輪を刻むむさしの教会の歴史の中にあって、確かな18年半の宣教のわざが花開いているのではないでしょうか。「千年といえども御目には、昨日が今日に移る夜の一時にすぎません」(詩編90:4)が、その「一時」を大柴牧師と共に担い続けてこられた光栄を思い、深く感謝する者でございます。そして、ご家族の皆様との深いお交わりにも御礼申し上げます。
大柴牧師とご家族の大阪教会での新たな歩みの上に大いなる展望が拓け、彼の地にあっても、また確かな宣教の年輪が刻まれて行くことを祈念しております。残されたむさしの教会にあっても、次なる「一時」が受け継がれて行きます。
そこには、また異なる色合いの宣教が展開されることでしょう。次の「一時」を、後任の浅野直樹牧師と共に果敢に担って参りましょう。そして、その群れに神様の豊かな御祝福を祈り求めます。