「燭台」




『むさしの教会とシンボル』 文と絵 青山 四郎

(むさしの教会文庫 1980年 4月20日発行)
むさしの教会元牧師の青山四郎牧師による文章です。

「むさしの教会に出入りしておられても、意外に皆さんが御存知ないことが多いのではないか
と思いますので、気付いたことを書きならべてみることにしました。御参考になれば幸いです。」




聖卓の上には、ブロンズ製の燭台が六つ置いてあります。これも山本常一先生御自慢の手作りの作品です。光はキリストのシンボルです。それはヨハネ8:12の「イエスは、また人々に語って言われた“私は世の光である。私に従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう”」から来ています。

燭台が聖卓の上に置かれるようになったのは、紀元六世紀から七世紀にかけてのグレゴリオスの時代からだそうで、その頃は「過越のローソク」と呼ばれる大きな二本のローソクが、燭台に立てられ、中央の十字架を囲んで聖卓に置かれていたと言います。これは照明のないうす暗い会堂の中で、司会者の朗読を助けるための実用的な役目があったのでしょう。今では二つのローソクの光があれば、世の光であるイエスを示し、救い主の人性と神性を意味しているとも考えられます。

燭台には、いろいろの形があります。この教会では、一本ずつの燭台が左右三つずつ、合計六つならんでいます。六つの光は天地創造の六日間を示すとも言われますし、教会の絶えざる祈りの輪を示すのだと言う人もありますが、どうでしょう。礼拝の間に、じっとローソクの光を見ていると、いろいろのことが脳裡に浮かんできますが、それでいいのではないでしょうか。