ある方の結婚式の日、初めて聖歌隊に加わってお祝いをさせて頂いた時のこと。聖壇から会衆のほうを見て、私は唖然としました。丸太に見えるのです。
ルターの卓上語録の「はじめての説教」の箇所で、「……ところで私がいま説教壇に立ったときは、一人の人間も見ないで、私の前に立っているのはただの丸太棒だと考えて、それに向かって神のみ言葉を語っている。」というくだりがあって(『世界の名著18ルター』中央公論社・昭和44年発行 541頁 塩谷饒訳) 、それを読んだ時、なんと失礼な! と思ったものでした。
しかし、丸太に見えるのです。私は唖然としました。
“あなたに見えているのが現実である”とルターは言いたかったのかもしれません。すなわち、私達はみな丸太である!?
(ど)
(たより2008年11月号)