幸田真音 『日本国債』 講談社
堤 毅国債といえば想起するのは「戦時公債」を父が勤め人の為、地主よりも大幅に割り当てられ敗戦により全くの反故になったショックである。以来現在に至る迄、発行される巨額の国債がどう処理されているか全く知らなかった。
本書に接して、財務省で国債の市場が開かれ、トレーダーが参加して毎月七兆円の額を如何に売れ残りなく金融界消化させているかが判った。
然し、他に運用先のない銀行等が国が元利保証する国債を買い続けている状況も限界に至りつつある。
次に来るべきものは、日本の信認失墜による国債価格の暴落・金利の急騰による国債バブルの破綻であろうと述べている。
この書はその序の口をショック療法で収拾させているが、上巻はミステリー仕立て、インターネットのホームページのチャット中心。下巻は「未達」の原因が御粗末で、現実味が薄い。
失われた十年、国の借金を効果薄くばらまき続けた為政者の責任は大である。
今新しいリーダーの下国民も困苦を耐え忍んで新しい道を進めるべきではないか。
日本の将来は、実にそこにかかっている。
(2001年 7/8月号)