賀来周一 『実用「聖書」名言集』 講談社
萩森恵美子~賀来先生を囲んで~
初夏を思わせるような陽気の4月13日(日)、賀来周一先生(むさしの教会元牧師、現ルーテル学院大学教授)ご夫妻をお迎えして、拡大読書会が行われました。この日取り上げた本は賀来先生が書かれた『実用「聖書」名言録』なのです。
この会に出席して下さった方は、45人程で、武蔵野教会には賀来先生ファンが大勢いるんだなあと改めて思いました。でも聞き手にまわる人が多く発言して下さった方は10人程でした。しかし参加して下さった多くの方が、こういう本が欲しかったと思っていらっしゃるようでした。
又、どうしてこういう本を書こうと思ったのかという質問に対して、先生からくわしい説明がありました。それは、この本の「あとがき」にもあるとおり、ザ・ブックの方が、この本の執筆依頼にあたってこう言われたのだそうです。「現代は宗教不信時代と言われる。特にオウム真理教など……。しかしこういう時代であればこそ、本当の宗教は何かを世に問うべきではないか。それにしてもキリスト教関係の本は難しすぎてクリスチャンにしかわからない。キリスト教関係者は、もっとわかりやすく聖書を説くよう努力すべきではないか。生活感のある聖書解釈を全くキリスト教を知らない人でもわかるように書いてほしい。」こうしてできたのが、この本だと言うのです。
またこの本を書くにあたって先生が留意したことは、聖書解釈の正統性は維持しながら聖書のみ言葉が生活の中でどのように役立つかをだれでもわかるように手みじかに書いたということです。その時、長年にわたって牧師として教会で説教し牧会してきたことが役立ったとおっしゃっていました。「こころ」のところで、私たち武蔵野教会の兄弟姉妹のことが書かれていることも、この本に親しみを持たせているのかもしれません。
さてこの本をまだ読んでいない人のために、紹介をしたいと思います。
この本は
第1章 人を祝福するとき
第2章 人の悲しみを癒すとき
第3章 自らの勇気を奮い立たせるとき
第4章 自戒するとき
第5章 岐路に立ち選択するとき
と分かれていて、自分の都合で、どこから読んでも良いことになっているのがこの本の利点だと思いました。本なんか読むのは、めんどうだと思っている人でも、自分の気にいったところから少しずつ読んでいけばいいからです。さらにこの本の親切なところは第一章の「人を祝福するとき」のところを の小見出しをつけて、もっと読みやすくしてあることです。
私はこの本を読んで、ある二冊の本を思い出しました。もう30年近くも前のことですが、私が札幌教会で賀来先生から洗礼を受けた時、確かルターの『日々の黙想』という本をいただいたと思います。もう一冊は、武蔵野教会に来てから、これも賀来先生から『我らの祈り』という本をいただきました。どちらも毎日1頁づつ、聖句と祈りが書かれてあって大変役に立ちました。そしてこの『実用「聖書」名言録』が、今私の生活に大変役に立っています。一つの聖句がだいたい2頁位のスペースで書かれているので、毎日一つの聖句を読んでいけば89日、約3ヶ月で読めます。一年間で4回繰り返して読めば聖書のみ言葉も体の中に浸み込んでくるでしょう。
(97年 5月)