カラス   石垣 通子

 最初に登場するのは有名なノアの洪水の物語で、水が引いたかどうかを確かめるために放されるが、二度と戻ってこないし、何をしたかもわかりません(創世記8:6ー7)。カラスは当てにならなかったということでしょうか。

 又、預言者エリヤがアハブ王から迫害されて身を隠した時、神様はカラスを使って エリヤを養われました(列王記上17:2ー7)。しかし、又一方では、カラスは汚れた動物の中に入れられています(申命記14:14)。

 又、イエス様の有名な言葉で「カラスのことを考えてみなさい。……」(ルカ12・24)はマタイではただ単に鳥となっています(6:26)。その他、雅歌、詩編、ヨブ記、箴言など様々な所に出て来るのを見ると、昔から人の近くで暮らしていたことを示しているのでしょう。

 また、日本でも「カラスの濡れ羽色」というように女性の黒髪を表現するのは洋の東西を問わないようです(雅歌5:11)。

(96年 3月)