パレスチナのテレビンの木は、枝のまばらな大きな落葉樹で、カシの木によく似た外観をしています。高さは4~6メートルになります。この木には、どの部分にも芳香性の樹液が含まれています。シリア、レバノン、パレスチナ、アラビア全域にわたって、丘陵地の低い斜面にふつうに見られ、たいていは一本立ちで、茂みや森林になることは少なく、多くの場合、カシの生育には暖かすぎるか乾燥しすぎている場所で、カシにとって代わっています。
またテレビンの木の名から推測して、テレビン油の原料木と思われる事がありますが、テレビン油は米国産の松の類などの樹皮に傷をつけて流れ出る樹脂を水蒸気を蒸留して取ります。爽快な芳香を持ち、ニス、ペンキなど塗料の溶剤として用途が広く、日本の松類からも取れるようです。しかし、テレビンの木からはテレビン油は取りません。傷をつけると芳香性揮発成分を含んだ樹脂あるいは油状のゴム質が分泌されることが似ているだけです。
創世記18章1節 「主はマムレのテレビンの木のかたわらでアブラハムに現れられた」(口語訳)。「主はマムレの樫の木の所でアブラハムに現れた」(新共同訳)。
(98年 2月)