鶏は東南アジアに野生するセキショクヤケイ(赤色野鶏)から家畜化されたものが、インド、ペルシャを経て広がっていったが、初めから現在のように肉や卵を採るためではなく、闘鶏や賭け、占いに用いたりしていました。
イスラエルに鶏が普及したのは、ペルシャがバビロンを滅ぼしてギリシャの方へ勢力を延ばした頃で、旧約聖書の終わりの時代でした。
最も有名な箇所はやはりペトロがイエス様を知らないと言う時に鶏が鳴いた所でしょう(マタイ26:34)。日本語ではただ鶏となっていますが、英訳では雄鳥です。この記事は4つの福音書全部に出ています。
イエスは言われた。「はっきり言っておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」
ペトロはまさしく鶏によって人生を変えられた人です。鶏は世界の歴史に残る大事件の発端となったのであり、キリスト教の夜明けを象徴しているのかも知れません。
有名なレオナルド・ダビンチの『最後の晩餐』の食卓に描かれているのは骨付きの鳥肉だったということです。
(1995年 4月号)