聖書には、よく言われる愚かで頑固なロバの姿がほとんどない。彼らは平和のしるしとして描かれ、重要な役割を与えられてきた。まず、アブラハムとイサクが捧げ物をしに山へ行く場面で登場する(創世記22・3)。
又、動物が人語をしゃべるのは創世記のヘビとロバだけであるが、ヘビはサタンを意味しているすれば、ロバのみである(民数記22・23)。ここでは預言者バラムよりも先に天使の存在を知るという点では賢明である。イスラエルの敵を打ち破るためにサムソンが用いるのもロバの顎骨である(士師記15・ 16)。
新約聖書に入ると、クライマックスのイエス様がエルサレム入城の時にはゼカリヤ書の預言の通り、ロバに乗られる。
「シオンの娘に告げよ。『見よ、お前の王がお前のところにおいでになる。柔和な方で、ろばに乗り、荷を負うろばの子、子ろばに乗って。』」(マタイ21:5)
(1994年 9月号)