明るい夏のあと、秋と冬の暗い日が来るとお葬式の数も多くなります。スオミでは、洗礼式・結婚式・お葬式は一般の家庭における大切な行事です。今回は、お葬式についてお話します。
スオミでは日本と違い、人が亡くなって2週間あとにお葬式を行います。それは、深い悲しみにある遺族の気持ちを汲み取り、またお葬式の準備のための時間です。その間、棺は病院に安置されています。そして、親族や関係者が集りやすい土曜あるいは日曜日のどちらかに教会の礼拝堂か霊安室で行います。ですから、大きな教会では毎週末お葬式が続きます。人が亡くなったことのお知らせとお葬式の予定は、新聞にも掲載されます。
お年寄りの場合、病院か老人ホームで亡くなるケースが多く、昔のように自分の家で家族が最期までお世話をしてくれることが残念ながらなくなりました。ですから、今の子どもたちは身近で人が亡くなることの体験がなく、人の死に慣れていないし、死を理解することが難しくなってきています。
お葬式の始まる前、家族は蓋を開けた棺のまわりに集まってお別れの言葉を述べます。そして、お葬式が終わると教会の墓地で一人一人が持ってきたお花のリースをお墓の上に捧げます。リースにはリボンが結んであって、そこには聖句やメッセージ、そして名前が記されています。続いて、家族だけではなくみんなが教会の食堂に集まって偲ぶ会が行われます。食事やお茶ををいただきながら音楽を聞いたり思い出を語り合い、また届いたお悔やみの電報が全て読み上げられるのを聞きます。
お葬式から偲ぶ会までの準備は、葬儀屋さんの仕事です。また、日本のお香典・ご花料の習慣はなく、生花を捧げるのが一般です。しかし、親を失った子どもの場合には、お金が用意されることがあります。
また、お葬式での服装は黒ですが、普通、女性は白いブラウスを着ます。そして、遺された家族は約半年のあいだ喪に服します。そして、家族に対して教会のカウンセリンググループが、いろいろとケアーをしてくれます。
そして、スオミでは毎年11月の第一土曜日が召天者記念日です。特別な礼拝が守られ、その年に亡くなった人の名前が読み上げられるとたくさんのロウソクに火が灯されます。それ以外に、日本ように亡くなってから何年かごとに記念会を持つようなことはありませんが、普段の日の他にクリスマスのときに必ずお墓参りに行くのは有名です。亡くなったことは悲しいけれど、クリスチャンとしては天国に召されたという喜びがあふれています。
(2001年11月号)