むさしの教会元牧師、ルーテル学院大学・神学校元教授(教義学、キリスト教倫理)の石居正己牧師による受洗後教育講座です。
(承前)それぞれが歴史的な経過を経てきています。その中でキリスト教会は人間的な愚かしさや誤りにも関わらず、委ねられた福音の力を伝え、又その力が教会を保ってきたわけです。迫害を受けた時代から、一挙にローマ帝国全体を包み込む教会になって行く。その中で信仰的な確かめがなされ、また教会と社会、あるいは国家との関係はたえず課題として残ってきたわけです。そのような中での十六世紀の宗教改革の展開があったのです。しかもいわば宗教改革の余波として、イエズス会は日本に伝道にやって来ました。中世のローマ教会有り様が、当時の日本人をしてそれが信仰的なものか、侵略的なものかという疑いを持つようにさせたとも言えます。しかし、宗教改革は西方の教会の問題です。そして批判にもかかわらず、西方の教会に伝えられた信仰の伝統を、プロテスタント教会は受け継いでいます。ルーテル教会の礼拝や讃美歌などでも大体西方の伝統の中にあるわけです。確かな信仰の歴史とそれによる現在の私たちの信仰の構築、そして沢山の人間的な問題とを歴史を省みる中で見分けて行かなくてはならないでしょう。(完)