今年で105年、日系移民記念日
1908年6月18日が正式な日本人ブラジル移民記念日です。毎年記念ミサが近くのカトリック教会であるので数人で歩いて行ってきました。「ルーテル教会の牧師です」と挨拶すると、今年は前の壇上の席に案内されて恐縮しました。ミサの中では、日系人がブラジルに貢献したとされる農業や医療を記念して「農作物」や「医療機器」が奉献されました。世界最大の国外の日系人社会があるブラジルも、時代の流れに伴い、様子は変わってきています。サンパウロ教会も日系1世、日本人、駐在員、日系2-3世のポルトガル語話者、そしてブラジル人たちも出入りしてくれています。私の延長していただいた今の任期はあと3年で2016年まで。将来に向けて、この数年が勝負と宣教に取り組んでいます。
盛り上がるブラジルと進出する日本企業
今年はコンフェデカップがありました。夜のイベントの前に、礼拝堂のプロジェクターで試合を見ながら応援する企画を立てて宣伝、結構な人が来てくれました。しかし、困ったことに、ブラジル戦と、日本戦が別々のスタジアムで同時にあるということ。こうなれば仕方ない、二つのプロジェクターで「同時多元中継応援会」をしました。礼拝堂に座ったみんなは、右画面でブラジルを応援し、左画面では日本を応援。危ないシーンやゴールシーンでは、歓声が上がったりどよめきが起こったりしますが、どちらの画面なのかみんな混乱気味でしたが、二つの試合を一緒に楽しみました。そんな具合にコンフェデカップがありましたが、来年はワールドカップ、そして2016年はオリンピックが予定されているブラジル。大規模なデモもあり一時大混乱しましたが、景気も安定成長し、かつて一斉に日本に引き上げた日本企業も再度進出が増えています。中小の企業も次々に。旅行者や留学者も増えています。新規来伯者の方々からの、インターネットでの問い合わせや面会希望、ゲストハウス利用も増えました。駐在の方もアパートが決まるまで教会のゲストハウスに住んだり、ご本人や奥様が教会のポルトガル語講座に来られたり、教会のつてでボランティア活動をしたいと、そんなつながりも広がりました。月に一度の交流シュラスコ(ブラジル風バーベキュー)会も有名になり、日曜の礼拝後の昼食会にもブラっといろんな人が訪ねてきてくれます。
伝道につなげたい
何とか伝道につなげ、特に青年伝道を進めたいと祈っています。ルーテル教会と同じころ宣教を開始した他教団は、日本語世代は減少傾向ですが、ポルトガル語世代が大きく成長し日本語部を凌駕しています。教会も9つにもなっています。ルーテル日系教会も今からでも急いで取り返したいと日夜祈って、いろんなことに取り組んできました。おかげさまで日本語礼拝は安定してきました。ポルトガル語礼拝の成長を祈り、日本から教会ボランティア(信徒宣教師)の山田麻衣姉にも来てもらいました。4年間での経済自給の段階的達成に加えて、ボランティアの家賃や生活費のための予算も組んで、皆応援し祈っています。
祈りと主体的な取り組み
祈りだけではいけません。ポルトガル語礼拝メンバーで他教派の夜の礼拝に参加しました。麻衣ちゃんはキャンプにも行ってくれました。謙虚に学びたいと思ったからです。そして、話し合いや祈りの会をしました。ホワイトボードを出して、過去と現状を説明し、将来の夢を提示しました。そして、「そうなるために、どうしたらよいか自由に話し合おう」と促しました。押し付けでなくて主体的に取り組んでほしいと思ったからです。ポルトガル語の会議です。するとブラジル人のLuizを皮切りにそれぞれ活発に意見を出してくれました。その結果、だれでも持てる名刺やパンフレットを作って、気軽に礼拝に誘えるようにしたい。シュラスコ会などのイベントから礼拝に繋がるように、無理のない伝道を進める各種の日ポ両語のパンフレットを作りたい。他教団で成功しているセル活動(家庭集会)に取り組んでみる。ポ語礼拝は若者向けに式文を使わずに賛美の礼拝にしていますが、もっとレパートリーを増やしてメンバーも増やしたい。ポ語礼拝は、古い訳のいろんな聖書でなくて、一番新しくわかり易い訳の聖書をIECLB(ブラジルのルーテル教会)から購入し統一する。ということが決まりました。
早速、知恵を絞りデザインして、教会パンフレットや伝道用名刺、教会に下げるバナーを注文しました。南の州の日本語礼拝の出張に合わせて、市ヶ谷みたいなポルトアレグレの教会本部で聖書を買い、パンフレットもいくつも見本を集めてきました。パンフレットはドイツ風?のデザインでポ語のみなので、もっとPOPな感じで、日ポ両語の物を作るしかなさそうです。
祈りは聞かれる
数年前、奏楽者が妻一人で忙しく大変なので祈って皆さんに声をかけると、他に4人与えられました。しばらくして、「其々いろんな背景の方々なので、ルーテル教会の式文や奏楽の学びが必要」と役員会で頭を抱え祈っていると、中山格三郎・康子夫妻が来伯されると聞き、教会音楽・奏楽講習会をお願いしてみると快諾していただき、実現しました。地球の反対側で嬉しい再会をし、他教派からも学びに来てくださいました。その時々の必要に応じて神様にお願いし祈っていると、次々に応えてくださると感謝したことでした。他にも、リストのように神様に祈っていることがありますが、楽しみです。
皆さまもお祈りください
Luizはファヴェーラ(貧民街)に住んでいますが、まじめで信仰深い青年です。うちの教会の工事に来た大工さんの一人ですが、洗礼を受け得意のキーボード演奏と賛美で奉仕してくれています。(少し計画性はないのですが)実家のそばに土地を買い、ルーテル教会にすると言い出しました。彼の家には今月も何度も訪問し祈りました。一緒にサッカーも見に行きました。昔日本にいて中学生の頃宣教百年の大会に出て、その後中高生キャンプにも出た後帰国したAntonio、去年一緒に訪日したAliceさん、南米教会から合同してきた菅さんの3人娘、それにボランティアで来ている麻衣ちゃんが主要メンバーです。先日のポ語礼拝後には聖壇に集まり、賛美の練習をしていました。何かが始まろうとしています。実は今までも、いろんな青年が出入りして、何度も夢を持ち、夢破れてきましたが、今度は違うかもしれません。伝道のために、
Luizの証しも入れた賛美のDVDを作ろうと話は盛り上がりました。年内に日本にも送りたいと思います。サンパウロの青年伝道のリバイバル、9月の収穫の春(ブラジルは春です)のために、皆さんもお祈りください。お願いします。
むさしの教会だより 2013年9月号