デール・パストラル・センター創設!   神学校校長 石居 基夫

去る7月26日の蒸し暑い夏の午後、日本福音ルーテル教会宣教百年記念会堂(東京教会)に二百名を超える大勢の方々が詰めかけてくださいました。デール・パストラル・センターの創設記念として「スピリチュアルペインとそのケア」というテーマで記念シンポジウムを開かせていただいたのです。
 シンポジストには、ウァルデマール・キッぺス先生、窪寺俊之先生、賀来周一先生をお迎え致しました。いずれも、日本でスピリチュアル・ケアについての第一人者として大きな活躍を頂いている先生がたです。三人三様に独自の視点から、生と死に直面する人々の魂のケアについて、実際的・具体的なお話を交えながら示唆に富む深いお話をお聞きすることができました。司会の大役を大柴譲治牧師が担ってくださいましたが、大柴先生がそれぞれのお話を引き出し、受け止め、確認くださったので、よりいっそう諸先生のお話が集まられた一人ひとりの胸に響くものとなりました。
 このシンポジウムは、最初にふれましたが今年4月に日本ルーテル神学校のもとにつくられましたデール・パストラル・センターのいわば初めての働きといっても良いかもしれません。そこで、この紙面を頂くことができましたので、少しこのセンターについてご説明をさせていただければと思います。
 デール・パストラル・センターは、お気づきのように、私たち日本福音ルーテル教会で50年以上宣教師としてお働きくださいましたケネス・デール先生のお名前を頂いたセンターなのです。デール先生は、人間成長とカウンセリング研究所(PGC)で長く所長を努められ、牧会学やカウンセリングなど、実践神学の諸分野に大きな働きを頂いてきました。PGCは30周年を迎えた二年前に、惜しまれな

がら、その働きに一つの区切りを迎えることとなりました。しかし、デール先生の長いお働き、いえその精神を神学校が是非引き受けていきたいということになり、一年ほど前から準備をしてまいりました。神学校や大学だけの力ではなく、教会の牧師先生や信徒の方々のご協力を頂きながら、この働きをデール・パストラル・センターの名前のもとに造り上げていきたいとスタート致しました。
 センターの目的は、「キリスト教信仰に基づいて、すべての人に必要なスピリチュアリティを重視しつつ、全人的な視点をもって、人間の癒しと成長を援助することを中心とする牧会的な働きの研究・教育・実践を通して、教会と社会に奉仕し、そうすることで福音宣教に貢献すること」です。
 その働きには、パストラル、スピリチュアル、そしてソシアルの3つの領域があります。パストラルの領域では、教会と牧師の牧会力を高めるための研究とプログラムを展開してまいります。スピリチュアルの領域では、教会と現代社会の中における霊性・スピリチュアリティについての研究と、教会・信徒の霊的成長のためのプログラムをつくっていきたいと考えています。ソシアルの領域においては、大切な人をなくした子どもと家族に、その死別体験のグリーフ・ケアの働きを担い、その研究と支援者の養成をしています。
 今回行ったシンポジウムは、こうしたセンターの働きの中心的なテーマを扱うものとなったと思います。センターでは、毎年、この種のシンポジウムや講演会を「デール記念講演」として開催することも計画しています。
 それぞれの働きは、教会の皆様のお力を頂きながら、これから育てていくものとなります。どうぞ、ご理解を頂き、お祈り、お支えをお願い申し上げます。ありがとうございます。

(2014年9月号)