井上ひさしの漢字が比較的多い文章。余白が多く、内容充実、さらっと読める。書かれたのは15年前で、今は忘れ去られているが、読書会では評判は良かった。
読書会で女性軍の人気があった「四月馬鹿」について。
『ひょっこりひょうたん島』脚本で有名な著者、オーストラリア国立大学で住み込み作家でぶらぶらしていたとき、学生とのやりとりで、4月1日に嘘をつくと見破られた。日本と違いオーストラリアの学生はノーテンキではない。イギリス圏の旧植民地は四月バカは正午までなのである。日本の常識は世界の常識ではない。最後の大馬鹿者と野次られてしまった、とある。
著者は日本の政官界に対して、4月1日だけは真実を口にして欲しい。その上、国民に対しても声をそろえて、政界官庁の愚策に対しても「この馬鹿!」というべきだと言っている。小生、タバコの葉っぱ生産地であった茨城県生まれです。茨城弁でごじゃっぺという言葉がある。これも消えていくのである。『吉里吉里人』も優れた作品だが、書店の棚から消えていく。
聖書も最初は羽根ペンで書かれて、今は電子書籍。司法試験受験者の誰も厚い六法全書を皮鞄に入れていない。かな?
私のお気に入りは、「長い冬」です。巨人は東京ドームで昨日は負けた。菅野の責任ではないが、チームなので、仕方ない。由伸頑張れ!但し1ヶ月前に菅野知之が神宮球場で勝った。野球ファンとして、彼が神宮で勝てなかったのは何故か興味つきません。マウンドの低さ、傾斜の角度かな? 巨人、大鵬、卵焼き、の世代ですから。10歳の時、東京球場で、開場式の時、仰木彬二塁手に握手して貰った。温もり忘れられません。
栄えある東京球場での最初のホームランは南海の野村克也捕手です。野球帽をかぶった子供が、お父さんとキャッチボールする方が、1人でゲーム機を指で操作するより、人間らしい。「世界一長い名前」から、「長い冬」まで、45本のエッセイ。好きなところを読めばいいし、つまらんと捨ててもいい。
図書館で借りれば、文庫の小さな文字を老眼鏡をかけないで、ただで、単行本の大きな字で読めます。興味を持てた方は、その延長として、井上ひさしの最高傑作の『吉里吉里人』にきりきり舞いして下さい。
最後に
むずかしいことを やさしく
やさしいことを ふかく
ふかいことを ゆかいに
ゆかいなことを まじめに
井上ひさし
むさしの便り7月号より